中学受験塾を舞台に描かれたマンガ『二月の勝者』。
『週刊ビッグコミックスピリッツ』にて、2018年1号から連載されています 。
2021年4月時点で累計発行部数は130万部を突破。
柳楽優弥の主演で2021年10月ドラマ放送予定。
そんなマンガ『二月の勝者』、塾講師の私ももちろん全巻もっています。
このマンガ、特筆すべきは・・・
参考文献がなんと33冊!!
多くの中学受験関連の書籍を参考に作られているのです。
マンガが気になった方はさらに参考文献も気になったり・・・しませんか?
『二月の勝者』の参考文献を現役塾講師が実際に読んで、考察しました。
『二月の勝者』参考文献33冊ってどんな本があるの?
まずは二月の勝者の参考文献をざざっと紹介していきます。
著者別の紹介ですので、共同著書の場合は()で作者を追加しています。
では、みていってみましょう。
西村則泰
中学受験基本のキ (小川大介)
中学受験をしようかなと思ったら、特に関東在住ならば必読の一冊。
関東圏の塾や学校の特徴から小3から小6のこの時期にはこれをしようが具体的に書かれてます。
関東の受験事情がよくわかるオススメの一冊です。
関東在住でなくても、中学受験のことがよくわかる中学受験入門にイチオシ。
なぜ受験勉強は人生に役立つのか (齋藤孝)
「中学受験をさせるなんてかわいそう」
そう思ったことが一瞬でもあるのならば、一読をオススメする一冊。
受験勉強がどう人生に役立つのか?
ただ合格をつかむだけではない。
社会へでるときに最高の基盤をつけることができるのではないか、ということが対談形式で書かれています。とても読みやすい本です。
中学受験の常識ウソホント
中学受験は情報を集めることが大切です。
そんな中でもその情報って本当?がクイズ形式で書かれています。
西村さんの著書で一貫してよく言われているのが「入塾してからのクラスアップはほぼ無理。上のクラスに入れるようにしてから入塾しよう」ということ。
これは真実です。下位クラスは使用テキストも違ったりするから、上位クラスに合わせたテストでクラス上げることはムズカシイ。
いろんな中学受験情報を整理できる一冊です。
中学受験は親が9割
親の力が9割ってどきっとしませんか?
こちらの本は関東圏だけでなく、関西の塾や学校などのことも書かれている点が参考になりました。
もちろん親として子どもをどうサポートするか?
受験にむかってどのように取り組んでいけばいいのか?
親として知りたい情報が盛りだくさんに詰まっています。
中学受験偏差値20アップを目指す逆転合格術
小学生はとくに勉強法がわかっていないだけ。
目の付け所がまちがってるだけ。
ってことが、たびたびありますので、偏差値の変動はしやすい気がします。
実際、私がみてる生徒もぐんっと偏差値が伸びたりします。
どうやって偏差値20アップできるのか、塾というツールをうまく使うための方法が書かれた一冊です。
小川大介
成績アップと合格をかなえるコツとわざ もう悩まない中学受験
中学受験をするにあたって多くの方が抱えるだろう悩みと具体的戦略アドバイスが書かれています。
受験に向けて親がどうやって子供をサポートしていけばいいのか?
きっと中学受験に足をふみいれたかたなら、「あるあるー」と思うことがたくさん事例としてのっているのではないでしょうか。
おおたとしまさ
もし中学受験で心が折れそうになったら
この本は塾講師の視点からの小説仕立てのストーリーです。
ものすごく読みやすく、今から中学受験を始めてみようかなって方には特に一読をおすすめします。
中学受験の最中、ココロがつらくなってきたら読み返したくなる一冊になると思います。
中学受験という選択
スポーツに打ち込むのは「素晴らしい」のに、なぜ勉強に打ち込むのは「かわいそう」なのか?
中学受験、そして中高一貫教育は、子どもを大きく成長させる一生に一度の機会。
塾・学校選びから、正しい併願戦略、試験に成功するための心構えまで、
この一冊で中学受験の「すべて」がわかっちゃいます。
たとえ中学受験がうまくいかなかったとしても、得られるものは必ずあるから大丈夫ってなれます。
ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体
中学受験において圧倒的シェアを誇る「サピックス」と名門校の合格者だけが入塾を許され、東大理IIIの合格者の6割以上をしめる秘密結社のような塾「鉄緑会」。
外からではわかりにくい内実にふれまくってくれています。
単純に読み物としてもおもしろい一冊。
追い詰める親「あなたのため」は呪いの言葉
「教育虐待」についてくわしく考察された一冊。
2012年8月23日の毎日新聞に掲載された記事によれば、「子供の受忍限度を超えて勉強させるのが『教育虐待』」であり、「親の所得格差が子どもの学習権に大きく影響する状態も『教育虐待』」とされる。
「あなたのため」という呪いの言葉から解放される親子が1組でも多くいることを願いたくなる。
子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの ?
8人の識者が語る勉強の本当の意味。
子ども編と大人編に分かれており、子どもにはやさしく、大人には詳しく解説されています。
だれもが一度は疑問に思ったのではないだろうか?
なぜ勉強するのか?様々な答えは生き方への答えでもあり、いろんな角度からの回答が読み応えあります。
受験と進学の新常識
最近の受験動向をまとめた一冊。
ただ共通テストの全容が明らかになった今は少し古い情報も混じっています。
(思考力重視の傾向は変わりませんが)
中学受験から大学受験まで幅広くまとまってるところはすごい。
受験系の本を何冊も買いたくない方はこの一冊を買っておけば間違いはないです。
中学受験「必笑法」
「やってよかった」中学受験を笑顔で終えるためのエッセンスがつまった一冊。
中学受験のバイブルに。
親としての子どもへの接し方や心構えがこれでもかーとわかりやすく客観的に書かれてあります。
全ての中学受験生の親ごさんに読んでいただきたい本。
瀬川松子
亡国の中学受験~公立不信ビジネスの実態~
中学受験ばんざい!!じゃなく、中学受験産業の闇について書かれた本。
私立中美化に待ったをかけている一冊です。
中学受験について一度フラットな目線で見直すために読んでみる価値がある一冊です。
ちなみにこちら2021年8月現在アマゾンKindleアンリミテッドで読み放題の一冊になっています。
中学受験の失敗学~志望校全滅には理由がある~
あまり表に出てこない中学受験の失敗例。
ちょっぴり極端な失敗例から学ぶ項目がたくさんです。
塾や家庭教師をつけたからもう安心なんてことは確かにありえません。
塾があまりおおっぴらには言えない、言わないことが書かれてあります。
ちなみにこちらも2021年8月現在アマゾンKindleアンリミテッドで読み放題の一冊になっています。
横田増生
中学受験
中学受験のネガティブな側面をこれでもかーというほど押し出した一冊。
中学受験礼賛な本を読むなら、同じくらいネガティブな側面を知っておくべきだとは思う。
少し考えたら、まぁそうですよねという実態も書かれてあります。
自分の目で見て、考えて選択はしていきたいですね。
高濱正伸
中学受験に失敗しない
花まる学習会の塾長が書く、中学受験本。
各時期に注意すべきことや夫婦のありかたまでくわしく書かれてあります。
子どもが幸せであるか、否かで中学受験を考えるという視点は塾講師としても共感できます。
中学受験をおりることを考えるという部分は刺さりました。
鳥居りんこ
偏差値30からの中学受験合格記―泣いて、落ち込んで、最後に笑った母と子の500日
実際の中学受験体験記。
優秀なお子さんが御三家にすいっと合格みたいな話ではなく、よくそのへんにいるようなちょっとできない男の子と母が奮闘しながら合格までを勝ち取るストーリーです。
読むときっと前向きになれる一冊。
坪田信貴
人間は9タイプ 子どもとあなたの伸ばし方説明書
ビリギャルで有名な著者、坪田さんによる「子どもと自分の取り扱い説明書」ともいえる一冊。
「90問の診断テスト」で9タイプに分類。9タイプ別の声がけや働きかけが詳しく書かれてあります。
我が子にどう接していいかわからない。
どう声をかけたらいいかわからない。
そんな方には一読の価値あります。
安浪京子
中学受験6年生からの大逆転メソッド 最小のコストで合格をつかむ60の秘策
プロ家庭教師の安浪京子さんの一冊。
遊ぶのが大好きで、気分にムラがあり、やる気がない、”いたって普通の子”を、無駄な努力・時間・お金をかけずに最少のコストで合格に導くためのノウハウは、モチベーションやメンタル管理から、勉強法まで、即効性のあるものばかり。
受験業界の当たり前がたくさん掲載されています。
中学受験大逆転の志望校選び 学校選びと過去問対策の必勝法55
中学受験で最も重要な「その子に合った志望校選び」と、「その学校の入試問題に応じた志望校対策」をマトリクスにして紹介。
学校をマトリクス紹介している本はあまりなく、おもしろい切り口です。
関東・関西圏の中学受験生には参考になるのではないでしょうか。
学校選択にあたって、どこを見るか?ここを知るにもおすすめです。
田中純
中学受験は挑戦したほうが100倍子どものためになる理由 : 迷っている親子のための受験のすすめ
ストレスマネジメントの専門家が「中学受験は親子で挑む冒険で、家族の成長のチャンス」と伝えてくれる一冊。
中学受験だけでなく、親子の心構えが分かる一冊です。
やり抜く力と立ち直る力を我が子に授けたいなら、こんな接し方はいかがでしょうか。
松島伸浩
中学受験親の関わり方大全
花まる学習会の進学部門「スクールFC」の代表の松島先生が語る、子どもをやる気にさせるために親ができること!
準備期~6年生まで時系列で詳細に載っているので、具体的にこうすればいいんだがわかりやすいです。
押しつけがましい書き方でなく、著書のこうしたらいいよ~な考えが書かれてあるので、ココロにすんなり入ってきやすいです。
花まる学習会といえば、なノート法も載ってますので、これは本当に読んでいただきたい一冊です。
桜井信一
下克上受験 ―両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!
塾なしで偏差値41から70へ。
中卒の父と、偏差値41の娘が、進学塾にも行かず、2人で桜蔭中学を目指すノンフィクション小説。
自宅学習は正直、本当に大変です。
全部を全部、鵜呑みにするのは塾講師目線からは危険かなあーとも感じますが、シンプルに励みになる物語です。(ふつう小学校高学年女子は親への反抗期がきつくなる時期なので、他人である塾講師の話はきけても、親の話はきかないパターンのほうが多いんです。)
桜井さんうちの子受かりますか?―中学受験 親の悩みにすべて答えます
『下剋上受験』著者の桜井氏が寄せられた相談メールの内容などから、今最も親御さんが聞きたい情報を厳選して紹介。
頭が良い子のための指南書ではなく、普通の子のための「こういうときどうしたらいいのー?」に冷静に多角的に解答をしてくれています。
中学受験だけでなく、高校受験や大学受験にも通じるところがあるなあと感じました。
今日マチ子
セキ★ララ中学受験: 経験者だから描けた、ホントの中学受験&中高一貫校ライフ!
マンガ家・今日マチ子が自らの中学受験や中高一貫校での思い出をもとに描いた自伝的短編マンガや、一貫校の卒業生約50人に取材したマンガが収録された一冊。
マンガだからとにかく読みやすいです。
中学受験ってどんな感じ?ということをつかみやすい一冊です。
中室牧子
「学力」の経済学
今まで「思い込み」で語られてきた教育の効果を、科学的根拠から解き明かした画期的な一冊。
なんとなくとか、根性論ではなくデータにより解説されているので納得できる部分も多々ある一冊。
ゲームは息抜きで1時間なら良しなどは多くの親子はほっとするのではないでしょうか?
統計的、実証的に理論づけを行っているところが魅力の一冊です。
昼間たかし・鈴木士郎
東京23区教育格差
親の収入格差=子どもの教育格差。子どもの学力は住む所で決まる?
なかなかセンセーショナルなタイトルです。
東京23区の学校事情や子育て支援に詳しくなれる一冊。
東京にお住まいの方はぜひ。
矢萩邦彦、小川 大介 、 齋藤 達也 、安浪 京子 、 宝槻 泰伸 、竹内 薫
中学受験を考えたときに読む本
「中学受験指導」と「探究型学習」のプロフェッショナルが、ご家庭の疑問を解決。
名だたるプロフェッショナルの名前が並んでいますので、それだけでもお得感。
インタビュー形式の本書ですが、結論は読者にゆだねられています。
どうするだろうか?と思考することこそが中学受験を考えたときに必要なことなのかもしれないな、と感じました。
野田英夫
親子で変わる中学受験(お母さん、もう頑張らなくていいんです)
3,000人以上の受験生の保護者をカウンセリングしてきた著者が、 3タイプの“疲れ親”の傾向と対策をストーリー仕立てで語る一冊。
ちょっと心が軽くなる、目から鱗の中学受験指南書。
「そういうことか」と納得できる一文に出会えるかもしれません。
前川ヤスタカ
勉強できる子卑屈化社会
なぜか「勉強できる子」に冷たい国、ニッポン。
ツイッターで大反響を受けた投稿「勉強できた子あるある」を発端に、教育史やメディア史を縦横無尽にひもときながら、日本のゆがんだ“逆学歴差別”の実態を分析。
勉強ができる子は肩身が狭い。あるあるがたくさん載っています。
勉強のできる子が卑屈にならない社会で生きていけるといいのにな。
橘木俊詔
子ども格差の経済学
格差研究の第一人者が、塾と習い事が生む格差を徹底分析。
最新のデータと研究結果から、親と社会ができることを提言する。
データがたくさん載っているところは魅力なのですが、解決策まではありません。
データを活用して自分で考える、その必要はある一冊です。
声の教育社
声教の中学過去問シリーズ
こ、これはよくある過去問シリーズです。
マンガ本作の中でもたくさんでてきますもんね。
理論とかを参考にしているわけではないと思われます。きっと。はい。
塾講師の気ままな考察
みてわかる通り、二月の勝者の参考文献は圧倒的に西村則泰さんとおおたとしまささんの本を参考に描かれていることが分かりますね。
また、中学受験ばんざーいな本だけなく、少しネガティブよりな本や中立な本など多角的に中学受験に対してみようとしていることも分かります。
作者も教育関係者、塾関係者、実際の中学受験体験者など多岐にわたっているので、いろんな角度から『二月の勝者』というお話を描こうとしている熱意がさらに伝わってきました。
本を読んでいて
「あ!この話はあのエピソードにつながっている」というのを発見するのは非常に楽しかったです。
ただの中学受験賞賛な本ではないからこそ、『二月の勝者』の人気があるのだろうな、と改めて一ファンとして感じました。
最後に
正直、参考文献33冊全てを読む必要はありません!!(笑)
ただ
中学受験を考えてるかたにはこの本はぜひ読んだ方がいいよ。
保護者のかたにこの本すすめたい!!
という名作な本もたくさんありました。
気になった本はぜひ一読してみてください。
そして、二月の勝者のあのエピソードに「これはつながってるー」とにまにまして楽しんじゃいましょう。