2022年度(令和4年)、中学受験で出題された注目の本をまとめました。
古めの出版の本よりも新しい年度に出版された本が目立ちましたね。
題材として、問題にしやすい本は数年間、他の学校での出題に使われたりもします。
2022年の中学受験に出題された本ってどんなの?
では、さっそくチェックしていきましょう。
2022年(令和4年)中学入試で出題された本 【10選】
氷柱の声 くどうれいん
東日本大震災を題材にした著者の10年をふりかえるような小説。
作中の登場人物がかかえているモヤモヤはきっと共有できる感情なのではないかな、と感じる。
芥川賞候補作。
<出題:開成高、麻布中、海城中>
「利他」とは何か 伊藤亜紗・中島岳志他
「利他」って言葉、聞いたことありますか?
いかに他者と関わるか、の中で「利他」というキーワードは重要です。
ちなみに伊藤亜紗さんの『記憶する体』は武蔵中で2022年出題されています。
注目の作者さんですので、ぜひ一度、文体にふれておくことをおすすめします。
<出題:立教池袋中、立教新座中、横浜雙葉中、淑徳与野中、東京農大一中>
明日のぼくに風が吹く 乾ルカ
失敗により、夢と希望を失い、うちひしがれていた少年が、強い風に海鳥舞う北海道の離島で成長していく物語。
心の内面との戦いはきっと、いくつになっても変わらないもの。
全世代に読んでほしい一冊でもあります。
乾ルカさんの作品は受験国語でもよく扱われますが、読書としても楽しめる本当にステキな1冊です。
<出題:早稲田中・聖光学院>
神様のいうとおり 谷瑞恵
昔から伝わっている言い伝えや風習、おまじない…
目には見えない何かに頼ることもあることもありますよね。
バラバラな家族が変わっていく、心温まる、どこか懐かしい物語。
<出題:ラサール中、栄東中、城北中、大妻中、三輪田中、香蘭中>
夏のカルテット 眞島めいり
中1の夏休み。
図書室当番で集まったクラスも部活もバラバラな4人が結成した夏限定のバンドはかけがえのない場所になっていって…。
自分でどうにもならないことへの折り合いのつけかたや自分の好きなものを好きという大切さ。
読後感は最高な一冊です。
<出題:筑波大付属中、海城中、西大和学園中、学習院中>
あしたのことば 森絵都
言葉は新しい未来へつながるー。
直木賞作家・森絵都が〈言葉〉をテーマに綴った8つの物語。
短編なので、さくっと読めるのも魅力的。
読み終わったあとは優しい気持ちになれるはず。
<出題:香蘭中、かえつ有明中、栄東中、西武台中>
金の角持つ子どもたち 藤岡陽子
サッカー少年が小6から日本最難関の中学受験に挑む物語。
愚直にひたむきに努力する主人公に、両親の姿。
中学受験を体感している家庭なら、感じるものが多くある一冊なのではないかと思います。
読み終わると勉強したくなっている、そんな一冊です。
<出題:専修大松戸中、サレジオ中、山脇中>
犬がいた季節 伊吹有喜
1988年夏の終わりのある日、高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。
「コーシロー」と名付けられ、以来、生徒とともに学校生活を送ってゆく。初年度に卒業していった、ある優しい少女の面影をずっと胸に秘めながら…。昭和から平成、そして令和へと続く時代を背景に、コーシローが見つめ続けた18歳の逡巡や決意を、瑞々しく描く青春小説の傑作。
三重県四日市市のとある進学校が舞台。
ほっこりとする、犬好きにはたまらない一冊です。
<出題:立教新座中、城北中、山脇中>
友だち幻想 菅野仁
「みんな仲良く」という重圧に苦しむ人に。
高校生のデータなどを用いながら、人間関係を根本から見直す、実用的社会学の本。
集団で生じる人間関係の難しさは世代を問わないので、全世代に読んでほしい一冊です。
ちなみに『友だち幻想』は出版から今までに10校以上で出題されています。
<出題:函館ラサール中、東洋大牛久中、和洋国府台中>
教室にならんだ背表紙 相沢さこ
「わたしは欠陥品なのかもしれない。自分が大人になれるって、無条件で思い込めるみんなが、羨ましい」(本文より)
クラスへの違和感や未来の不安、同級生に対する劣等感など、思春期の心模様を繊細に描き出す全六編の連作短編集。
思春期のあなたに読んでほしい一冊です。
<出題:駒場東邦・芝中>
さいごに
本は楽しんで読むものです。
義務感で読むと、その楽しさは軽減してしまいます。
受験勉強の息抜きに。
ほっと没頭する時間をもつために。
せっかくなら受験にもつながるステキな本を読んでみて下さい。
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